VRによる蒔絵万年筆の3DCGおよび展開図鑑賞システム |
蒔絵万年筆は,照明などの光や湿度によって劣化するものがあり,恒常的な展示には適さない.また,細かい柄等が肉眼で見えにくいといった問題がある.一方,近年VR技術の発展と博物館資料のデジタルアーカイブ化が進んでいる.本研究では,博物館の展示支援を目的として,蒔絵万年筆のVR鑑賞システムを開発した.本システムでは,蒔絵万年筆の連続した絵である展開図画像と3DCGを同時に鑑賞することができる.VR上にある蒔絵万年筆を自由に鑑賞することが可能であり,一つの万年筆を両コントローラで引き離すような動作を行うことで展開図が引き出される.また,コントローラのボタン押下によってVR上にある万年筆の所持,拡大縮小が可能である.本システムを実際に体験してもらい,評価実験を行った.アンケートの結果,約70%の体験者が満足に鑑賞できた,VRを使用した鑑賞方法は適切であると回答した.一方,約40%の方からはインタフェースがわかりづらいという回答が得られた.このことから,本研究から,現在のインタフェースには改善の余地があるが,VRでの鑑賞方法は適切であることが確認された.
- 浅尾陸斗, 曽我麻佐子, 鈴木卓治, VRによる蒔絵万年筆の3DCGおよび展開図鑑賞システム, 映像情報メディア学会技術報告, vol.44, no.4, ME2020-4, pp.9-10, 2020年2月