Motion Laboratory

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モーションキャプチャによる扇子アニメーションのCG再現

モーションデータを用いたデジタルコンテンツの普及が進んでいるが, CGアニメーションを用いた教材などでは人体のみを対象としたものが多い. そこで, 本研究では人体動作に伴う道具動作として扇子の動作をモーションキャプチャで取得し, 人体動作と合わせてCGアニメーションで再現することを試みた. 扇子の動作は左右の親骨に2点ずつマーカーを装着し, 光学式モーションキャプチャシステムを用いて人体動作と同時に取得した. まず, これらの3点の位置座標から扇子の要の位置座標と左右の親骨の成す角度を算出する. 次に扇子の開閉動作を再現できるようにするため, 左右の親骨の成す角を16等分し, 扇子の先端の15点の山または谷となる位置座標を算出する. 隣り合う山と谷と要の位置座標を用いて三角形を16面張り付ける. 再現した扇子の動作はモーションキャプチャで取得した人体動作と合わせて表示した. CG再現結果を10名の学生に鑑賞してもらった結果, 動きがよく再現できていた, このモーションを使ったコンテンツができたら面白いという意見を得られた.

インタラクティブ技術を用いた江戸時代のすごろくの遊び支援システム

本研究では,江戸時代のすごろくに対する興味喚起と,博物館における展示支援を目的とし,インタラクティブ技術を用いた江戸時代のすごろくの遊び支援システムを開発した.本システムは,マイクロコンピュータを搭載したサイコロ型デバイスを振ることですごろくを電子的に進行することができる.サイコロ型デバイスに3軸加速度センサを搭載し,値を取得することで,サイコロの振り始めと静止時の姿勢を検出し,出目を決定する.さらに,実物の盤上に進行状況をプロジェクタで投影することにより現在地のマスや次の行先の候補を示すことができる.また,サイコロにLEDを搭載し,プレイヤーごとに決められた色で発光させることで自分の手番を知らせるようにした.これにより,ユーザは江戸時代のすごろくを当時のように遊びながら新しい要素を楽しむことができる.本システムの操作性と江戸時代のすごろくへの興味喚起を評価するためにアンケートを行った.その結果,8割の被験者からシステムを使ったすごろくはわかりやすく,追加した要素も面白いという結果が得られた.また,サイコロ型デバイスを使用した操作性においても良い評価を得られ,今回のシステムの有用性を確認した.

  • 北村隆二, 曽我麻佐子, 芝公仁, 鈴木卓治, インタラクティブ技術を用いた江戸時代のすごろくの遊び支援システムの開発, インタラクション2017論文集, pp.789-790, 2017年3月
3DCGを用いた練り供養の経路シミュレーションシステム

3DCGの発達によりこれまでデジタル化が難しかった伝統芸能や野外行事などを正確に記録し,再現することが可能となった.そこで本研究では,映像等での記録や再現が難しい練り供養という行事を対象に,経路編集と3DCGによるシミュレーションが可能なシステムの開発を行った.本システムでは,マップ上で行列が通過する位置をクリックしていくことで経路を設定し,作成した経路を練り歩く様子を3DCGでシミュレーションできる.さらに,全周囲画像や3DCGモデルの読み込みによる景観の3D再現と,高低差の制御による坂や階段などの経路への対応を行えるようにした.練り供養は階段や坂などの高低差が存在する場所で行われることもあるため,高低差によって移動可否を判断し,移動不可能な経路が入力された場合は最短距離で迂回するようにした.開発したシステムを本学の学生10人に体験してもらい,アンケートによる評価を行った.その結果,70%の被験者が本システムは練り供養の構成を考えるのに有効と回答した.

HMDとペン型デバイスを用いた万年筆の展示支援システム

蒔絵万年筆は,照明などの光や湿度によって劣化するものがあり,恒常的な展示に適さない.また,細かい柄等が肉眼で見えにくいといった問題もある.本研究では,博物館の来館者に蒔絵万年筆をより細かいところまで自由に鑑賞してもらうことを目的として,HMDとペン型デバイスを用いた万年筆の展示支援システムを開発した.本システムでは,HMD用いてVR空間に表示した万年筆の3DCGを,ペン型デバイスで操作して鑑賞することができる.直感的に万年筆を操作するために,ペン型デバイスに搭載したジャイロセンサから検出した角速度を用いて,万年筆の3DCGを回転させている.また,HMDを装着した状態で複数の万年筆から一つを選んで簡単に切替えられるようにするため,HMDの画面の中心にカーソルを表示することで,頭の動きのみで鑑賞する万年筆を選択することが可能となっている.本システムを学祭での研究室公開で実際に体験してもらい,来場者による評価実験を行った.アンケートの結果,約90%の利用者が万年筆をペン型デバイスとHMDを用いて満足に鑑賞することができたと回答した.また,操作性においても高い評価が得られた.これより,本システムは万年筆の展示支援システムとして有用であることが確認された.

  • 冨田脩平, 曽我麻佐子, 鈴木卓治, HMDとペン型デバイスを用いた万年筆の展示支援システム, インタラクション2017論文集, pp.434-435, 2017年3月
モーションキャプチャによるソフトボールのウィンドミル投法の動作分析

本研究では,ウィンドミル投法における利き腕でない腕を上げる効果の検証を目的とし,光学式モーションキャプチャシステムを用いてソフトボールのウィンドミル投法の通常の投げ方と利き腕でない腕を上げない投げ方を5人分計測した.特徴量として利き腕の速さ,手首の捻りの速さ,利き腕側の脚を引き付ける速さ,腰の回転角度,腰の回転の速さを算出し,ウィンドミル投法における通常の投げ方と利き腕でない腕を上げない投げ方の比較を行った.算出した特徴量を分析した結果,利き腕でない腕を上げない投げ方により腕の速さは予想通り遅くなった.腰の回転角度については予想していた通り,利き腕でない腕を上げないほうが角度は狭くなり,速さは速くなった.脚を引き付ける速さは投球時に利き腕でない腕を上げることによって遅くなると考えていたが,予想に反して速くなり,手首の捻りの速さも予想に反して速くなることがわかった.これらの結果より,利き腕でない腕を上げることによって腰をより開くことができ,その後に,利き腕を下げることによって利き腕と腰に勢いがつくことがわかった.

  • 中平将, 曽我麻佐子, モーションキャプチャによるソフトボールのウィンドミル投法の動作分析, 映像情報メディア学会技術報告, vol.41, no.4, ME2017-9, pp.33-34, 2017年2月
バレエのモーションデータを用いた関節位置の算出と特徴量の分析

光学式モーションキャプチャでは人体の表面にマーカーを装着するため計測点の位置は関節の位置と異なる.そこで本研究では,アラベスクと呼ばれるバレエの片足支持の動作を対象とし,取得したモーションデータから関節位置を算出し,計測点と関節位置による特徴量を算出した.そして,特徴量を比較して誤差を算出することで計測点だけでも正確な特徴量を算出できるかを調べることを目的とした.分析した結果,右膝の角度は膝が伸びている時は計測点と関節位置による特徴量の誤差が小さいことが分かった.また,股の角度は股が開いている時は計測点と関節位置による特徴量の誤差が小さいことが分かった.従って,右膝の角度と股の角度はその時なら計測点だけでも関節位置と同様の特徴量が算出できる.さらに,関節位置による水平距離の方が計測点による水平距離より短いことが分かった.すなわち,つま先と重心の水平距離は関節位置を使用した方が精度は高い.

博物館の既存アーカイブを活用した万年筆の3DCG再現

近年,3DCG技術やVR技術が発達し,貴重な資料を画面上で見ることが可能となったが,多くの資料を3D化させるには時間と手間がかかる.本研究では,博物館が所有する既存のアーカイブを用いて効率的に3Dコンテンツを作成することを目的とし,万年筆の3DCGを生成する手法の提案とVRでの活用を想定した軽量化を行った.まず,既存データとして存在する半径データを用いて本体形状のカーブを作成する.半径データから10ピクセルごとの点と行が連なる4つの半径データの差が2 ピクセル以上10 ピクセル以下である点のみ座標を出力することで軽量化を行う.その後,カーブを垂直軸を中心に360度回転させ,本体形状を作成する.万年筆の3DCG形状を作成した後,既存データとして存在する万年筆の展開画像をテクスチャとして貼る.クリップの形状は本体と同様にカーブを作成しクリップ分の角度だけ回転させる.既存データのない本体の上下部は3種類の形状によって補間し,クリップの太さと下部の突起は手作業で作成した.本研究では国立歴史民俗博物館所蔵の蒔絵万年筆44本中20本を3DCG化した.効率よく再現・軽量化できたか確認するため,万年筆の3DCGのポリゴン数を比較した.提案手法で作成した3DCGポリゴン数は全ピクセルデータで作成した3DCGの1.5割になり,形状を維持したまま削減できた.

3DCGを用いた空き巣対策グッズの防犯シミュレーションシステム

侵入窃盗の手口で最も多い空き巣や忍び込みの防犯対策として,防犯グッズの設置は非常に効果的である.そこで,防犯グッズの知識を深め,これからの日常生活で防犯対策に意識を向けてもらうことを目的とし,3DCG技術を用いた防犯対策シミュレーションシステムの開発を行った.本システムは,システム内でキャラクタを操作して防犯グッズを設置している家に空き巣として入りこんだ場合を想定した体験型シミュレーションシステムである.実際に見える防犯グッズの位置やその性能を空き巣犯の目線から再現することで,防犯グッズの必要性を確認してもらう.防犯グッズの効果を確認するために設置する防犯グッズの選択が可能である.時間制限を10分とし,シミュレーション中犯人がどれだけ防犯グッズによって危険な状態になったかを示す危険値を設定した.残り時間と危険値の数値から防犯グッズによってどれほど被害に遭う可能性を抑えることができたかを評価し,表示する.本システムの有用性を評価するために,現在自宅で防犯グッズを使用していない10名の人に使用してもらい,アンケートによる評価と防犯グッズに関する確認テストを行った.アンケート・確認テストともに高い結果が得られ,本システムは防犯グッズを知るきっかけとして有効であることが確認できた.

モーションデータを用いた少林寺拳法の単独演武作成システム

本研究の目的は,少林寺拳法の学習と大会に向けた単独演武の作成を支援することである.そこでモーションキャプチャを用いて少林寺拳法の動作を取得し,3DCGでシミュレーション可能な演武作成システムを開発した.まずモーションキャプチャを用いて少林寺拳法の8個の基本動作と2個の方向転換動作を取得した.ユーザは8個の基本動作の中から6個自由に組み合わせて演武を作成し,3DCGアニメーションで再生することが可能である.作成する演武に大会ルールを適用するため,選択できる基本動作と演武終了時の身体方向を制限した.同じ動きを二度使えないルールや,1つの演武は必ず6個の基本動作で構成されるルールを適応するため,基本動作を演武に追加する毎に既に組まれている基本動作数のカウントや各基本動作の使用回数の確認を行うようにした.また体が正面方向から始まり正面方向で終わるというルールを適用するために,演武終了時に体の向きが正面でない時は自動で方向転換モーションを挿入するようにした.本システムの有用性を評価するために,本学少林寺拳法部部員6人による評価実験を行った.その結果,本システムは練習支援として活用できるという評価が得られた.

現代舞踊の創作支援を目的とした振付自動生成システム

本研究の目的は,モーションキャプチャで取得した3Dモーションデータを用いて現代舞踊の振付創作を支援することである.本研究では,ユーザが選択した基本動作に複数の身体部位動作を自動で組み合わせて短い振付動作を生成し,それらを連結したフレーズやシークエンスを3DCGアニメーションで再生可能な“Body-part Motion Synthesis System” (BMSS)を開発した.本システムはタブレット端末上で動作し,一般的なタッチ操作で直感的に扱うことができる.短い振付動作の自動生成では,身体部位動作の差し替えまたは全身動作の混ぜ合せによる動作合成を行う.また,動作生成時に手,足,胴体の接地状態や重心の位置,動作を合成する前後の姿勢の差違を基に合成タイミングや遷移時間を調整することで,不自然な動作が生成されにくいようにした.さらに,フレーズの自動生成では,ユーザが作成・保存した各振付動作に含まれる姿勢の類似度を,姿勢間の距離により求め連結性を評価する.これを基に,ユーザが入力した振付動作に類似している振付動作を2〜4個連結する.また,生成結果にバリエーションを持たせるために閾値を設け,連結する振付動作をこの範囲内からランダムに選択することで,複数通りの出力結果を生成できる.振付動作の自動生成システムの有用性を評価するために,日英米のダンス経験者25名を対象に評価実験を行った結果,国や学習歴によらず創作支援および動作理解への有用性を確認した.また,プロの振付家4名を対象に本システムを用いた振付創作実験を行い,システムの有用性と課題を確認した.その後,フレーズの自動生成の創作支援に対する有用性を評価するために行ったダンス経験者8名による評価実験では,自動生成されたフレーズは新しい動きの発想やダンスのトレーニング支援に効果的という意見が多く得られた.これより,本システムのフレーズの自動生成手法はダンスの創作支援として有効であることが確認された.

  • Yuho Yazaki, Asako Soga, Bin Umino, Motoko Hirayama, Automatic Composition by Body-part Motion Synthesis for Supporting Dance Creation, Proc. of International Conference on Cyberworlds 2015, pp.200-203 (Gotland, Sweden), Oct. 2015
  • 矢崎雄帆, 曽我麻佐子, 海野敏, 平山素子, 身体部位動作の自動合成システムを用いた現代舞踊の創作支援, NICOGRAPH2015論文集, 8 pages, 2015年11月
  • 矢崎雄帆, 曽我麻佐子, 海野敏, 平山素子, 現代舞踊の創作支援を目的とした動作合成システム〜振付フレーズの自動生成手法〜, 情報処理学会人文科学とコンピュータシンポジウム論文集, vol.2016, no.2, pp.165-170, 2016年12月
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