笠原 健佑 : 取得時期の異なるモーションデータを用いたバレエの回転動作の分析 |
スポーツなどのトレーニングでは,継続的に練習することで基本姿勢や基本動作を習得する.しかし,ある程度上達すると動作の熟達度を見た目で判断するのは難しい.本研究では,バレエ技能の習得に必要な要素を明らかにし,技能習得の支援を行うことを目的とする.そこで,取得時期の異なるモーションデータを用いて,バレエ技能を定量的に分析することを試みた.対象は,バレエ作品の中でも見せ場として使われる「グラン・フェッテ」という難易度の高い回転動作とした.まず,バレエ理論に基づき「グラン・フェッテ」の特徴を分析し,特徴量としてプリエ時の軸足の膝角度や回転中に顔が正面を向いている割合などを算出した.次に,半年または1年ごとに取得した同一人物による4回分のモーションデータを用いて特徴量や軌跡の比較を行った.その結果,軸足の爪先の軌跡と回転中に顔が正面を向いている割合に特徴的な傾向があり,バレエ技能の習得に必要な要素であることが確認できた.