Motion Laboratory

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笠原 健佑 : 取得時期の異なるモーションデータを用いたバレエの回転動作の分析

スポーツなどのトレーニングでは,継続的に練習することで基本姿勢や基本動作を習得する.しかし,ある程度上達すると動作の熟達度を見た目で判断するのは難しい.本研究では,バレエ技能の習得に必要な要素を明らかにし,技能習得の支援を行うことを目的とする.そこで,取得時期の異なるモーションデータを用いて,バレエ技能を定量的に分析することを試みた.対象は,バレエ作品の中でも見せ場として使われる「グラン・フェッテ」という難易度の高い回転動作とした.まず,バレエ理論に基づき「グラン・フェッテ」の特徴を分析し,特徴量としてプリエ時の軸足の膝角度や回転中に顔が正面を向いている割合などを算出した.次に,半年または1年ごとに取得した同一人物による4回分のモーションデータを用いて特徴量や軌跡の比較を行った.その結果,軸足の爪先の軌跡と回転中に顔が正面を向いている割合に特徴的な傾向があり,バレエ技能の習得に必要な要素であることが確認できた.

小久保 聡 : 加速度データの機械学習による能の下肢動作の判別

本研究は,舞台パフォーマンスの演出において役者とCG映像のインタラクションを実現することを目的としている.そこで本研究では,加速度データの機械学習により能の下肢動作を判別することを試みる.本研究では能の加速度データを学習し,摺足は最も特徴が出ているX軸,足拍子はY軸を対象とし,摺足,足拍子,それ以外に判別する.各動作を判別するにあたり検証用として7つの加速度ファイルを用いて検証した.結果として,摺足は4個中2個,足拍子は2個中2個,その他の動作は5個中3個正しく判別した.先行研究では閾値を用いた判別のため,ある一定の値を超えなければ判別することができなかった動作が,本研究では,同じような動作をすると判別を行うため,判別できなかった動作を判別することが可能となった.

小西 俊輔 : バーチャルアイドルによる対話型ダンス鑑賞システムの開発

本研究では,モーションデータを用いてダンスの教育や鑑賞などに実用できるシステムの開発を目的としている.ダンスの基本動作の学習や,興味喚起を支援するためのシステムとして,バーチャルアイドルによる対話型ダンス鑑賞システムを開発した.本システムは,様々な種類のダンスの三次元CGアニメーションを,バーチャルアイドルによるCGキャラクタで再生することができる.CGキャラクタはメタセコイアを用いて作成し,GUIの開発にはWire Fusionを使用した.インタラクティブ機能として再生制御や衣装の着せ替えなどを実装し,Javaアプレットとして出力した.開発したシステムを10名の学生に使用してもらったところ,ダンス鑑賞システムへのバーチャルアイドルの流用は,効果的であると評価された.

阪本 恒平 : 身体の移動情報を用いたバレエ基本動作検索システムの開発

本研究の目的は,3次元モーションデータを整理し管理するためのデータベースを構築することである.そこで本研究では,バレエの基本動作を対象としたモーションデータベースを構築し,3次元位置情報を用いて動作を検索するシステムを開発した.本システムではGUIを用いて検索条件を指定し,条件に合う動作を抽出して,リストに表示することができる.動作の移動方向と移動量を特徴量として算出してあり,これをもとに動作を検索することができる.さらに,選択した動作を3Dアニメーションで確認することができる.本システムの有用性を評価するために,12人のバレエ未経験者を対象とした評価実験を行った.その結果,本システムは操作が簡単であり,移動情報から検索を行うことは未経験者にとって有用であるという結果が得られた.本システムにより,動作の管理と検索が容易に行えるようになり,検索方法にGUIや移動情報を用いることで容易に動作検索することが可能になった.

福冨 勝信 : TVMLを用いた舞台演出シミュレーションシステムの開発

本研究は,舞台パフォーマンスの創作支援やデジタルアーカイブ化を目的とし,映像,音楽,CGアニメーションなどをインタラクティブに操作できる舞台演出シミュレーションシステムを開発した.本システムは,TVML Player2を用いて映像,3Dアニメーション,音楽,字幕の同時再生を行うことができる.インタラクティブ機能として,キーボードによる音楽再生制御,映像切替え制御,CGキャラクタのアニメーション制御,カメラワークの視点制御などの機能を実装した.本システムを用いて「蜘蛛の糸」の舞台パフォーマンスの一部シーンの演出を再現することを試みた.さらに,能のモーションデータを用いたCGキャラクタと本番用の台本を字幕として追加したデジタルコンテンツを作成した.本システムを用いて制作したデジタルコンテンツについて評価を行ったところ,映像とCGアニメーションの組合せは物語をわかりやすく表現するために効果的であるという評価が得られた.

馬渕 脩平 : 身体部位角度の主成分分析による舞踊動作の比較

本研究では,バレエ,コンテンポラリーダンス,能のモーションデータから特徴量を抽出し,3つの舞踊の違いを定量的に解析し比較することを目的としている.本研究では,25点の位置情報を持つモーションデータを使用し,身体部位の角度情報を特徴量として主成分分析を行った.はじめに,上体の傾きを調べるために頭部角度,胸部角度,姿勢角度,腕の屈伸具合を調べるために左右の肘角度,肩角度,下半身の屈伸具合を調べるために左右の膝角度,踵角度,脚角度の身体部位角度を算出した.次に,算出した13個の身体部位角度を特徴量として主成分分析を行い,算出した主成分得点からネゲントロピーを求め,ネゲントロピーの値の差が大きい主成分得点の分布図を作成し,3つの舞踊動作の特徴を確認した.その結果,バレエは左膝と右肩,コンテンポラリーダンスは頭部角度,能は踵角度に特徴が表れることが確認できた.

河野 良之 : モーションデータを用いた身体部位動作合成による振付創作支援システムの開発

本研究の目的は,モーションキャプチャにより取得したリアルな人体動作を,振付創作支援に活用するためのシステムを開発することである.本研究では,身体部位動作を合成することにより新たな動作を作成し,振付シミュレーションを行うシステムを開発した.対象とするユーザはダンサーおよび振付家とし,シミュレーション結果を参考にして振付を創作することを想定している.ユーザインタフェースは,タッチパネルデバイスとキーボードを使用し,ユーザは複数の部位動作を自由なタイミングで合成することができる.本システムでは,動作合成および振付編集により振付シミュレーションを行う.動作合成は,基準となる全体動作に対し部位動作を合成することで行い,動作の合成方法は全体動作と選択された部位動作を切り替えることで行うことができる.動作合成結果は,CGアニメーションでリアルタイムに表示される.振付編集は,動作合成で作成した合成動作を保存し,保存した動作を時系列に並べることで一連の振付動作を作成する.本システムによる振付シミュレーションの有用性と可能性を評価するため,コンテンポラリーダンスを対象とした振付創作実験を行った.被験者はこれまで振付創作の経験のあるダンス経験者8名を対象とした.被験者には,本システムを使用して振付動作の作成を行ってもらい,作成した振付動作にイメージやニュアンスを加え,振付を実演してもらった.実験の結果,システムを使用することにより,創作の幅が広がる,体の細かい動作の確認を行うことができる,普段使わない部位を鍛えることができるなどの意見があり,振付創作支援,動きの理解,トレーニングへの有用性が確認できた.

  • 河野良之, 曽我麻佐子, 藤田和弘, タッチパネルデバイスを用いた振付合成・編集システムの試作, 第15回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集, pp.124-127, 2010年9月
  • 河野良之, 曽我麻佐子, 海野敏, 平山素子, モーションデータを用いた動作合成による振付創作実験, 第16回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集, pp.376-379, 2011年9月
藤田 健太郎 : 舞台演出とコンテンツ制作のためのモーションデータを用いたCG表現の研究

本研究の目的は,3次元モーションデータをアートの分野で活用することである.本研究では,モーションデータを用いたCGアニメーションを活用し,創作能演劇の舞台演出とCGコンテンツ制作においてCG表現の研究を行った.CGキャラクタの制作,およびプリレンダリングCGアニメーションの作成とリアルタイムCGアニメーションの作成のためのデータ変換を行った.本研究で使用するモーションデータは能役者の実演を収録したものである. 創作能演劇の演出表現においては,舞台上に設置した2枚のスクリーンにCGアニメーションを表示し,背景やモーションデータを適用した多くの仮想役者,回想などの表現によって,役者による実演だけでは難しい演出を実現した.またデータ加工により,モーションデータの収録が困難な動作を能の舞から作成した.この舞台の観客らのアンケートより,CGアニメーションが視覚効果として有用であること,伝統芸能とCGの融合は演劇の内容理解を深めるのに有効であること,伝統芸能の観客層を広げる可能性があることが確認できた. CGコンテンツ制作では,毎回異なるCGアニメーションを自動生成するシミュレーション技術を提案した.CGキャラクタには能のモーションデータを適用し,モーションデータから定義した「目立つ動作」が適切な位置,向き,タイミングで表示される.絵巻が自動的に開きながら絵画が動くというCGアニメーションを,絵巻を読むような左から右への視点移動と絵巻の装飾,CGキャラクタとCGオブジェクトの自動的な配置によって表現した.

  • 藤田健太郎, 曽我麻佐子, 芝公仁, ジョナ・サルズ, モーションデータとCG映像を活用した能演劇パフォーマンス, 第26回NICOGRAPH論文コンテスト論文集, 6 pages, 2010年9月
  • 藤田健太郎, 曽我麻佐子, 能演劇「蜘蛛の糸」におけるモーションデータとCG映像の活用, 映像情報メディア学会技術報告, vol.35, no.14, AIT2011-17, pp.17-20, 2011年3月
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